受験コラム

学校で習わない「大学受験の小論文対策」を解説【慶應対策も解説】

受験生
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入試で小論文があるけど、学校で習ったことないし何を勉強すればいいかわからない。参考書とか問題集をやればいいのかな

こうした疑問に答えます。

記事の信頼性

この記事を執筆している塾長は大手予備校、大手学習塾、当塾の3か所で慶應合格者を多数輩出してきました。

また個人としても慶應大学に現役合格しており、小論文で結果を出してきました。

指導者・プレイヤーの両面での実績をベースに解説していきます。

小論文とはどのような試験か

大学入試において、小論文は非常に独特な試験です。

一番の特異性は「中学や高校の授業で習わないのに入試で必要になること」です。

そのため小論文がどんな試験か知らない人は多く、学校の先生でもよくわかっていない人が多いです

これは「ちゃんと対策すれば大勢の人に差をつけられる」ということになるので、小論文がある人は差をつける大チャンスです。

小論文と作文のちがい

小論文は作文とよく比較されますが、大まかな違いは以下の通りです。

作文…テーマに沿って自分の体験や思いを書く(フィーリング)

小論文…設問に解答し、その解答に納得してもらう(ロジック)

作文は「伝えること」に重点があり、小論文は「わかってもらうこと」に重点があります。

小論文の主な出題形式

小論文対策を解説する前に、小論文でメジャーな問題形式を確認します。

①本文を読んで、要約をする

②本文の傍線部を説明する

③本文を踏まえ、ある問いに対して自分の意見を述べる

このうち、差がつくのは③です。なぜなら、要求されることが多いからです。

①本文を読んで、要約をする
→文章を整理して、簡潔に説明する力が必要

②本文の傍線部を説明する
→文章を理解して、簡潔に説明する力が必要

③本文を踏まえ、ある問いに対して自分の意見を述べる
→文章を理解して、テーマに合う知識を引き出し、簡潔に説明する力が必要

以上より「小論文で高得点を取るには③の対策が重要」であり、その対策方法をこれから解説していきます。

小論文の勉強は3つだけ

小論文対策は以下の3つでOKです。

①「頻出テーマ」を勉強して、主な論点を知っておくこと

②小論文を書く手順や、得点を取るためのポイントを理解して覚えること

③過去問を使って、実際に小論文を(何回も)書く

この3つをしっかり進めていけば、(ほとんどの受験生は対策してこないので)かなり大きな差をつけることができます。

「頻出テーマ」の勉強法

小論文で大量失点する一番の原因は「そもそも何の話か分からなかった」です。

そのため自分が受験する学部や学科の「頻出事項・頻出テーマ」の知識をつけておくと、本番の点数が安定しやすくなります。

どの事項が頻出か」は過去問でチェックするのが一番ですが、以下の参考書を読むのも強くオススメします。

この本はテーマごとに4冊に分かれているので、自分の受験する学部に合わせて選びましょう。

また動画派の人は、こちらのYoutubeチャンネルの「頻出テーマ解説動画」がわかりやすいのでオススメです。

小論文では「読む」が第一

ここからは小論文で高得点を取るための「書き方」を解説していきます。

まず、小論文を解く3つのステップを解説します。

①課題文・問いを正しく理解する

②自分の考えを整理する

③問いに答える(答えを書いていく)

小論文では「どう書けばいいのか」を重視したくなりますが、そもそも①課題文や問いを理解することが第一です。

問われていることを理解して初めて、文章を書くという話になります。

「読む」の勉強方法

基本的には現代文の勉強と同じです。

そのため入試で国語が課されている人は、まずは国語の勉強を仕上げるようにしましょう。

おすすめ参考書

現代文解法の新技術 (大学受験スーパーゼミ徹底攻略)

すこし古めの参考書ですが、現代文だけでなく小論文にも活かせる解法を習得できます。

この参考書の優れている点

①そもそも「どう文章を読解していくか」がルール化されていること

②「こう聞かれたら、こう答える」をルール化していること

③要約問題の解法まで掲載していること

小論文の書き方(論理の展開)

小論文は(ある程度)書き方が決まっています。

※もちろん設問の条件に従うことが第一です

①一文目で設問に回答する

②回答の根拠(具体的事例)を書く

③今後の展望(解決策・論点)を書く

最初の文で設問にストレートに回答してください。僕たち文章の素人が回答を後回しにすると、ほぼ100%意味不明な文章になります。

そのうえで、回答の根拠が必要です。これは具体的であればあるほど良いので、普段からニュースを見ている人は有利になりやすいです。

最後に、解決策や論点(今後考えるべきこと)を記述します。ここまで書かないと読み手は納得できません。

小論文の書き方の勉強法

好印象を与える小論文の書き方」を知るために、現時点ではこの参考書が一番おすすめできます。


何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55

この本を1週間くらいで読んでみて、ある程度理解できればOKです。

結局のところ小論文は「書いてみないと身につかない」ので、この段階では真剣になりすぎなくてよいです。

また先ほど紹介したYouTubeチャンネルの「書き方動画」もおすすめです。

小論文で絶対やるべきこと

小論文では「これは絶対に守らなければいけない」というルールがあります。

一見すると当然のものもありますが、実に多くの人がこのルールを破って失敗しています。

①指定のルールを絶対に違反しない
→指定字数を越えない、マス目を指示通り使う(段落わけ、禁則処理)

②誤字・脱字は最低限にとどめる
→3つをこえるとかなり印象が悪い

③文章は「だ・である調」で、文末は断定する
→「~と思う」は使わない

その他、小論文の冊子上で指定されている条件やルールがあれば絶対に破ってはいけません。0点になる可能性もあります。

その他の(小さな)注意点は以下をご確認ください

・「まとめ」は不要。どうしても字数が足りない時のみ書く

・(一般に)300字以内なら段落わけは不要です。それ以上なら段落をわけます

小論文で高得点を取る5か条

高得点を取るための5か条があります。

①文の頭には「つなぎ言葉」を入れる

②一文の長さはどんなに長くても100字以内

③ポイントを1つに絞って書く

④「程度の副詞」を使わない

⑤レトリック(修辞法)を使わない

①つなぎ言葉を必ず使う

小論文では「論理的な文章」が求められます。

論理的とは、文と文のつながりが明確であること

そして、文と文のつながりを明確にする方法は「文の頭に必ずつなぎ言葉を入れること」です。

つなぎ言葉

・「そして」「ところで」「その一方で」などの接続語

・「この」「その」などの指示語

②一文は絶対100字以内

僕たち文章の素人の「長い一文」は、ほぼ100%伝わりません。

そのため、小論文では一文が短ければ短いほど良いと考えるべき

具体的な目安としては以下の通りです。

・100字は絶対に超えないようにする

・50字以内が望ましい。つなぎ言葉があれば文章がぶつ切りでもOK

③ポイントを1つに絞る

字数に限りがある小論文では、手広く(列挙して)書かずにポイントを1つに絞りましょう。

ダメな例

少子高齢化の原因は、女性の社会進出による晩婚化や晩産化、子育て環境が十分に整備されていないこと、長引く不況による将来への不安が挙げられる。

いい例

少子高齢化の主要因として、将来家庭を持つことに対する不安が国民に広がっていることを挙げる。その中でも、長引く不況について詳述していく。

問題点をただ列挙するのは「意見」ではありません。

「自分はどの問題を重要と考えるか」を記述するのが意見であり、採点官が求めていることです。

④「程度の副詞」は使わない

小論文の目的は「読み手に納得してもらうこと」です。

そのため、定義があいまいな副詞を使わないようにしましょう。

「とても」「非常に」「かなり」「大きく」…人によって基準が違うので正しく伝わらない
※採点官は「よくわからないな~」と率直に感じます

程度を示したいのであれば、「2倍」などのように具体的な数字を用いてください。

⑤レトリック(修辞法)を使わない

レトリックは使わないようにしてください。

情報元は言えませんが、某大学で小論文の採点をしていた教授は以下のように教えてくれました。

体言止めとか、比喩とか、擬人法とか、とにかくそういう修辞法(レトリック)を使っている文章を見ると鳥肌が立つ。見た瞬間に0点にしたくなる

もしかしたらこれは「偏った意見」かもしれません。

しかし、大学教授が日々執筆する論文でもこうしたレトリックは避けられるとのことです。

かっこつけた文章を書かず、小学5年生にも確実に伝わる文を書くようにしましょう。

ここまで頭に入れたらあとは書く!

ここまでの内容を理解して頭に入れたら、あとは実際に書きながらレベルアップしていきます。

最初は全然書けないし、何百字も書くのめんどくさい…

必ずこのような壁に直面しますが、小論文は何度も書かないと書けるようになりません。

僕を含め、慶應合格者も最初は「何を言いたいのか意味不明」というレベルです。

本番で失敗する人→知識と書き方を学んだだけで満足し、書く練習をしない

本番で成功する人→知識と書き方を学んだうえで、何度も書く練習をする

小論文については「本番までに何回書いてきたか」で95%決まります。

なお本来は「信頼できる第3者に添削してもらう」のがベストです。自分の思考や文章の癖を自力で治すのは難しいからです。

もし「自分一人でやる」ということであれば、書いてから時間を空けて頭をリフレッシュさせてから採点するのがオススメです。

小論文対策の開始時期

あくまで目安ですが、小論文対策は10月~11月頃に開始できれば十分です。

もちろん「小論文だけの試験を受ける」のであれば、5月や6月からやるべきです。

小論文以外にも試験科目があるのなら、まずは小論文以外の科目を仕上げることが優先です

とはいえ、限度はあります。

具体的には12月には絶対に小論文対策を始める必要があります。

これまでお話してきたように、知識と書き方を習得してから「実際に書く練習」を積んでいくのに最低でも2か月はかかるからです。

慶應志望の小論文対策

ここからは慶應大学(文、経済、法)の小論文対策を解説していきます。

商学部は「論文テスト」という小論文とは言えない試験なので、今回は除外しています。

小論文の前に:英語は大丈夫?

すでにご存じだと思いますが、慶應に合格するには「英語での高得点」が必須です。配点が高いからです。

特に経済学部では「英語」または「英語と数学」の点数で足切りがあるので、英語が出来ていないと小論文を見てもらえません

そのため時期にもよりますが、当面は英語力の向上を目指すべきです。

過去問で合格最低点にある程度近づいてから、小論文に着手するのが理想の流れです。

要約+自分の意見が問われる

著作権上、ここで過去問を掲載することができません。

そのため赤本か「慶應 小論文 過去問」で検索して問題を眺めてみてください。

どの学部でも、基本的には以下の内容が問われます。

①本文を読んで、内容を要約する。または傍線部の内容説明をする

②本文を踏まえ、与えられた問いに対して自分の意見を述べる

具体的な勉強方法はこれまで解説してきたことと同じです。

11月くらいまでに参考書での勉強を終え、12月から過去問演習に入れると理想的です。

学部別の頻出テーマ・対策

文学部

問題傾向

文学部では、哲学、史学、文学、図書館情報学、人間関係学、自然科学、諸言語など、幅広い専攻分野があります。

そのため小論文も幅広い分野から出題されます。しかし、課題文が与えられるので専門知識を事前に身につけなくて大丈夫です。

課題文では主題や意見、具体例、キーワード、論点が明確に示されることが多く、専門的な用語には注釈がつけられたり、文中で丁寧に説明されています

設問

文学部では2つの設問が出題されます。

設問1は300〜400字程度の要約問題で、設問2は300〜400字程度の意見論述問題です。

設問1…課題文のキーワードや論理を取り出して説明する要約問題

設問2…課題文を踏まえて自分の意見を述べます。仮に「あなたの考えを自由に述べよ」と書かれていても、あくまで本文を踏まえた内容が求められます

指定字数が内容に対して少ないため、いかに自身の意見を簡潔かつ説得力を持ってかけるかが勝負になります。

対策

まずは基本的な読解力と文章力が必要です。

文学部の小論文で答案を作成するには、国語的な「読み方」と「書き方」を学ぶ必要があります。

ここまで解説した「書く力」をしっかり身につけ、余裕があれば抽象度の高い文章に読み慣れておくと安心です。

法学部

問題傾向

法学部の小論文では、主に「憲法」「法律」「民主主義」「国家」といったテーマが頻出です。

そのため問題文はかなり難解です。法律の専門家が日常的に読む文章が出題されます。

与えられた文章をどの程度理解できるかが勝負の分け目になります。

設問

設問は「あなたの考えを1000字で述べよ」という形式で出題されます。

年度によっては「400字程度でまとめた上で…」や「擁護と批判の両方を…」といった条件がつきます

ただし、このような条件がなかったとしても書くことは大きく変わりません。

1000字の中では、基本的に「要約・擁護と批判」を考慮すべきです。

ソクラテス方式

法学部では「ソクラテス方式」と呼ばれる思考法が求められます。

具体的には自分の意見に対する反論を予測し、さらにその答えに対する再反論まで予測することで自身の見解を深める手法です。

過去問の模範解答を参照しながら、このソクラテス方式に慣れていくようにしましょう。

対策

何よりも難解な問題文への慣れが必要です。

高度な漢語語彙を含んだ文章を読むためには、基本的な国語力に加えて語彙力の向上が求められます。

次に「1000字書くこと」に慣れなくてはいけません。

思ったことを書くだけでは小論文ではなく、作文です

問題文を踏まえ、自分の意見を簡潔に構成しつつ、ソクラテス方式によって深めていくことが必要です。

なお法学部は出題傾向が長年大きく変わっていないので、複数年度の過去問を積極的に解くようにしましょう。

経済学部

問題傾向

経済学部の小論文では、現代の社会問題を経済の観点から捉える能力が問われます。

テーマとしては「市場経済」を中心に「生存戦略」「組織形成」「教育産業」「環境問題」が頻出

なお経済学部だからといって、専門的な経済用語を知っておく必要はないです。

経済学部の小論文は配点が低く、試験時間も短いので難解な文章は出題されません

設問

毎年AとBの2つの設問が出題されます。

A…要約説明問題で、下線部分の語彙や文言の説明が要求される。字数が200字前後と短いため、要約力が求められる

B…意見論述問題で「あなたの考えを述べよ」と指示される。字数は300~400字前後で、具体例を要求される場合がある

試験時間が短く、指定字数も少ないため「簡潔な説明」が重視されます。

対策

先述のように、制限時間が短く指定字数が少ないため、短時間で読解する能力と簡潔に話をまとめる能力が要求されます。

過去問を通じて、問題文を正確に読み設問の意図に忠実に答える訓練を積んでください。

なお小論文の配点は全体の1/6であり、時間対効果を考えると過去問は3年~5年分で済ませられるとベストです。

看護医療

問題傾向

看護医療学部の小論文では「医療」に関する課題文が出題されます。

・障害者や高齢者とのコミュニケーション

・震災(とその被害者)

・医療従事者としての心構え

文章は「語り調」のものが多く、感動的なものもあります。あくまで小論文なので感情移入しすぎず、冷静に記述していくことが大切です。

頻出なのは「筆者独自の用語の説明」です。下線部が引かれて意味の説明が求められます。

なお小論文を解くうえで「専門的な医療知識」は不要です。

知識よりも基礎的な読解力、考察力、文章力が求められます。

設問・対策

毎年「問題1」と「問題2」の2題で、指定字数は100字から600字前後です。

問題1と2で明確な問題傾向はなく、内容は年度によって変わります。

傾向としては「要約」「推論」「意見の記述」が多いものの、出題が予想しにくいことで有名です

また先述のように「著者独自の用語」の説明は特に頻出です。

・「著者が使用するAという言葉の意味を説明せよ」

・「著者が使うBという言葉を使って、あなたの意見を述べなさい」

基本的な読解力と小論文の書き方を習得したら、過去問を解いて看護医療独特の問題になれていくようにしましょう。

おわりに

ここまで小論文の対策について解説をしてきました。

小論文は学校で習わない「勉強に悩みやすい科目」なので、ぜひ今回の記事を参考にして高得点を目指してくださいね!

また小論文対策に必須の「過去問の使い方」はこちらから!

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